ここ2年くらいずっと買おうと思って後回しになっていた3Dプリンタを購入した。全く知識のない状態から使い始めたのでそのあたりの話を書いておく。
3Dプリンタの選択
購入したのはAdventurer3。誰に聞いても入門にはこれがいいと教えてもらえる。理由はよく分かっていない。
自室の空きスペース的には40cm*40cmの面積を確保するのが精一杯なのでこれよりも大きいものが置けず、自ずと選択肢が絞られていった。また、印刷するノズル等がむきだしのプリンターだと、結構丁寧にほこりをはらってあげないと使えないだろうなという予感がしており、外装のあるプリンタにしたかったというのもある。
最初はAdventurer3 Proを買おうかと考えていたけど、結局は無印の方を購入した。Adventurer3 Proはビルドプレートがガラスになっていて、そのかわり取り外しができない。また本体についているのとは別にノズルが1本ついてくる。ビルドプレートを外しやすい方がメンテナンスが容易なのでは、と考えてこちらにした。実際に使って比べたわけではないのでどちらがいいとかはよく分かっていないが、1万円安いのでそのぶん何種類かのフィラメントを購入できてお得だったと思う。ガラスプレートの方が造形物の取り外しはしやすいと聞いていたが、Adventurer3のビルドプレートも取り外して曲げればすぐに外れるので困ってはいない。
テストプリント
まずは電源を入れて、デフォルトで入っているモデルを印刷してみた。
— Masayoshi Wada (@masawada) 2023年1月9日
マニュアルには船っぽいモデルが入っているように見えるけど実際には含まれおらず、この2cm角の箱しか存在しない。ひととおりの操作方法を覚えたら、今度は自分でモデリングしたものを印刷してみる。
自分でモデリングしたものを印刷する
リビングの壁にケーブルを這わせていてモールで隠しているのだけれど、曲がり角にフィットするジョイント部品が存在しないので勉強がてらこれを作ってみた。
Adventurer3でモデルを印刷するには、以下のステップを踏む。
- CADソフト等で物体をモデリングしてstlファイルとして書き出す
- スライサーソフトを利用してstlファイルを3Dプリンタ用のスライスデータに変換する
- Adventurer3は専用のスライサーソフトがあるのでこれを利用する
- FlashPrint 5 - 初心者でも取り扱いやすい無料スライサーソフト
- これをなんらかの手段で3Dプリンタに転送して印刷する
CADソフトはひとまずAutodeskのFusion 360を利用してみることにした。個人で非商用であれば無料で使うことができる。全く知識がなかったので、ひとまず公式のYouTubeの動画を見ながらなんとなく概念を獲得していく。見たのは以下の2本。2本目は前編なので当然後編があるけれど、やりたいことに対してはこれで十分なのでひとまずこれだけ見た。
基本的な考え方としては、一旦スケッチとよばれる平面図を描いてから押し出しによって厚みを出せば良いという理解をした。スケッチを描く際は線分に対して拘束と呼ばれる制約をかけていって目的の形状を作る。拘束が足りないと一部の角が直角になりきらずに線分が微妙に長かったり短かったりしてしまうので気をつける必要がある。
これをstlとして書き出してFlashPrintで読み込んでサポート材の設定を行なってからスライスする。3Dプリンタは最初に土台となるサポート材を印刷して、その上に造形物を印刷していく。
このスライスデータ(.gxファイル)をUSBメモリに入れてAdventurer3に差し込む。Adventurer3側でLANに接続している場合はFlashPrintからも転送することができるらしい。
出力して試した結果、狙いどおりモールにフィットすることが分かった。
……のだが、左右逆に作ってしまった。というのも、スケッチの段階では上から見た図を描いたが、その後の押し出しで底面を天井にするように作ってしまったのだった。スケッチの段階では左右を反転させる必要があった。ということで、スケッチをやりなおして印刷して実際に設置した様子がこちら。
無事に曲がり角にフィットするジョイント部品を作ることができた。
モデリング自体にかけた時間はだいたい1時間くらい。印刷に2時間くらいなので、かなり高速に欲しいものを手にいれられる環境が整った。
今年はハードをやっていきたい、あわよくば売ってみたい(まだ確度は低そう)と考えており、もうすこしいろいろなものをモデリングできるように練習していこうと思う。その際にFusion360だと有償版を購入する必要があるが、これが結構お高く、Adobe製品くらいの価格感なので他のソフトの使用感なども確認しながらどのソフトを使っていくかを考えたい。